最近話題のROE
こないだのあれ、
日経の記事に書いてあった、
ROEを分解して売上とか資産とか、
なんでROEに売上とか資産とか出てくるんだ?
ROEを細かく要素に分解して、ROE向上への取り組みを
より具体的にしていこう、という・・・
(何の話かな?)
急になんのこと?
という質問はよくあります。
探りながらそれらしい話ができれば合格だと思っていますが、先日、ROEの話を振られたときはしどろもどろになってしまいました。
後で日経新聞を確認したらROEの3分解の話でした。何の記事かもわからず、ROE3分解もしっかり頭に入っていないので、急に聞かれて困りました。
ROEの3分解ってなんだっけ?
急に話を振られても困らないくらいには知っておこう!
ということでまとめてみました。
ROEの3分解【デュポンシステム】
ROEの3分解【デュポンシステム】とは、デュポン社が1919年(古い!)に開発したROEの分析方法です。
収益性を示す売上高純利益率、効率性の総資産回転率、安全性の財務レバレッジの3つの要素に分解して分析します。
利益と自己資本で計算されるROEなのに、確かに「売上高」と「総資産」がでてきます!
投資家側からは、ROEが高いといっても、財務レバレッジを効かせて高くしているだけなら稼ぐ力が高いとはいえない、とか分析します。
会社では、
売上高純利益率は「利益率を上げる」
⇒ 事業部長や営業のマネージャーの責任
総資産回転率は「不採算施設・工場への投資を減らす」
⇒ 投資の決定権を持つ事業部長の責任
財務レバレッジは「健全性とバランスをとりながら自己資本を減らす(増配・自己株式の取得)」
⇒ 経理部長の責任
など、ROEを上げるために、社内の各担当者の業務内容に整合した指標(分解後の指標)について責任を持たせたりします。
自己資本・総資産・売上高・利益は連動している
総資産回転率は「不採算施設・工場への投資を減らす」ことで上げてROEを上昇させる、としましたが、3つの式を見ていると引っかかる点があります。
「総資産」を減らすと総資産回転率は上昇するけど、
同時に財務レバレッジは低下するのでROEに対して
中立なのでは?
自己資本、総資産、売上高、利益は連動していることを
理解しましょう!
自己資本、総資産、売上高、利益は連動しています。
自己資本(資金調達) ⇔ 投資(資産) ⇔ 売上高 ⇔ 利益
総資産が減少すれば、資金が余剰となり、連動して増配・自己株式の取得で自己資本を減少させることが前提となっています。財務レバレッジの分子も小さくなりますが、分母の自己資本も小さくなり、利益水準が維持できればROEは上昇します。
ROEを上げる方法
ROEを上げる方法には、
・余剰資本(投資に回していないお金)を減らす
・投資を増やさずに利益を増やす
・他人資本(銀行借入等)で投資を増やす(自己資本を増やさずに、売上増⇒利益増)
・利益率の低い投資を減らし利益率の高い投資を増やす
などがあります。
AGC「脱ガラス」正念場⇒ROE改善は資産圧縮がカギ
エライ人に尋ねられた日経の記事は【AGC「脱ガラス」正念場 2021.4.20】です。
・世界最大級のガラス事業だが、重い資産が効率経営転換の足かせとなっている。
・売上高純利益率については改善傾向 ⇒ ROE上昇
・借入金は減らしていくため財務レバレッジは今後低下する見通し ⇒ ROE低下
・(3つの要素のうち、1つはROE上昇、1つはROE低下の要因となるため、残り1つの)
総資産回転率の上昇がROE改善に必要 ⇒ 低収益のガラス事業の資産を圧縮できるかがカギ
資産の圧縮でROEは上昇します。
総資産の減少 ⇒ 自己資本の減少(増配・自己株式の取得) ⇒ ROE上昇
本来なら総資産の減少は利益の減少につながります。
総資産の減少 ⇒ 売上高の減少 ⇒ 利益の減少 ⇒ ROE低下
低収益事業資産の圧縮による「総資産の減少」と、戦略事業(モビリティ・エレクトロニクス・ライフサイエンス)の「利益の増加」が前提となっています。
低収益事業資産の減少 ⇒ 売上高の減少 ⇒ 戦略事業の成長による利益の増加 ⇒ ROE上昇
*戦略事業は低収益事業に比べると少ない投資で進めるようです
M&Aは除く。研究開発費は増加。