執行役員制度は廃止か?強化か?

企業価値の向上

執行役員だと何が変わる?

そういえば、あの部長って執行役員だったよな。

あっちの部長は執行役員じゃないけど何が違う⁇

ウチの執行役員はふわふわした存在です。

ザ・執行役員‼

と「バーン」とはっきりした権限などがありません。

よそ様はどうなのか、そもそもなんなのか、調べてみました。

上場会社の機関設計

上場会社では取締役会は必須になります。

会社の機関として、あとは、
・監査役会設置会社(7-8割)
・監査等委員会設置会社(2割)
・指名委員会等設置会社(数%)
のどれかになり、執行役員制度は、これにプラスした制度になります。(注1)

執行役員制度

執行役員制度は日本独自の制度で上場企業の7割(注1)が導入しています。

執行役員は会社法上の機関ではなく、社内の役職です。執行役員は、監査役会設置会社及び指名委員会等設置会社では業務執行取締役の下にあり、監査等委員会設置会社では執行役の下にいます。

・監査役会設置会社
 取締役会⇔監査役会
 業務執行取締役⇒執行役員

・監査等委員会設置会社
 取締役会⇔監査等委員会
 業務執行取締役⇒執行役員

・指名委員会等設置会社
 取締役会⇔指名委員会・報酬委員会・監査委員会
 執行役⇒執行役員

執行役員と似た言葉で執行役がありますが、執行役は指名委員会等設置会社の機関として業務を執行します。
執行役員は執行役ではありません。会社法上の取締役ではなく社内の役職で、立場上は、従業員である「雇用型」と、社員を退任して1年契約などで就く「委任型」があります。

執行役員制度の歴史

日本で初めて執行役員制度を導入したのはソニーです。(1997年。取締役38人⇒取締役10人)
さすがですね。従来の仕組みに問題を感じていた企業は多かったようで続々と後に続きます。

それまでの取締役会の問題
1.取締役会が監督と執行を担い組織的に未分離
2.取締役の人数が多過ぎる
 当時、40人~50人も取締役がいる企業も少なくなかった。
 ・人数が多いと、全員出席を意識すると取締役会を頻繁に開催できない
 ・人数が多いと、議論にならない
 
⇒監督と執行を分離し、意思決定の質とスピードを上げるために執行役員制度を導入、
 取締役会を10人程度にスリム化

執行役員制度導入の理由

ここで、タテマエとしては、「経営における監督と執行の分離をはかり、意思決定の迅速化を推進する」ため執行役員制度を導入、という説明になることが多いですが、業務執行取締役が最高責任者となり、その部下の執行役員が業務を執行している形態の場合、「分離」の効果はあるのでしょうか。

社外取締役のように、業務執行に関わっていない人でないと、「監督」の実効性はないと思います。

実態としては、取締役をスリム化すると「役員」の肩書がなくなる人たちのモチベーションが下がるので、「執行役員」を名乗っていいよ、というくらいの制度だと理解しています。

取締役の下で誰が業務を執行するか、となったときに、執行役員と名乗るか、部長・室長・支店長などと名乗るか、名称の違いだけではないでしょうか。

「取締役が執行役員を監督する」は「課長が課員を管理する(=監督と執行が一体)」とは何か違うのでしょうか。それらしくいっているだけで、同じことのように思います。

「営業課(執行)の支出を経理課(監督)がチェックする」なら、監督と執行が分離されているといえます。
取締役執行役員は、レフェリー兼プレーヤーがドリブルしてバンバン当たってくるイメージです。
それで審判は無理では?

とはいえ、営業では、『執行役員』の肩書は交渉力が数段増す印象はあり、肩書はタダなので導入の理由になると思います。

執行役員制度は廃止か?強化か?

廃止もある

執行役員制度を廃止する企業もあります。

ブリヂストンの場合(2021.1廃止)
ブリヂストン(指名委員会等設置会社)は取締役会議長を社外取締役にした凄い会社です。
異次元のガバナンス。

「執行役員制度を廃止し、各事業/機能の最上位責任者としてグローバル経営責任を負う「経営層」を、現行の60名程度から常務役員以上の20名程度へ削減」

ブリヂストン、経営執行体制と人事制度を刷新
 株式会社ブリヂストンは、2021年1月1日付で経営執行体制を変更するとともに、新しい人事制度へ移行します。シンプルかつリーンな体制・組織に...

だいぶ「経営層」が膨れがっていたようですね。
廃止の理由は、ブリヂストンもそうですが、だいたい「意思決定の迅速化」みたいです。

リクルートワークス研究所 Wors147号
(注1)数字はコチラの資料参照

執行役員制度を導入しても、監督と執行の分離は進まず(当然だと思います)、さらに、執行役員という階層が間に入ることで業務執行取締役の意思決定が遅くなったそうです。

新規導入もある

導入の動きも続いています。
NTTの場合(2020.6導入)

410 Site Has Moved | NTT
NTTグループ公式ホームページは移転いたしました。

機能させるには?

意味のある制度にするには、権限の設定がキーになると思います。

・権限の設定が明確
・通常業務は執行役員会議で決まる
この二つがしっかりしている執行役員制度は機能しているといえるでしょう。
業務執行取締役⇒執行役員⇒?⇒課長⇒課員
?の部分の設定に魂を込める(薄くする?)ことができるかどうか😤
一方、意思決定が多層化してしまい、「意思決定の迅速化」のため廃止、という流れもあります。

正解はなんでしょう?

よそ様の執行役員制度に比べるとウチはわかりやすい。
ウチの会社の執行役員制度は、
・雇用型
・権限の設定は何もない
・執行役員会議の開催もない
という3拍子揃った、気持ちのいいほど名ばかりの制度です。

いろいろ調べてみてわかったのは、ウチの会社では「執行役員制度は名誉職」です。
魂がこもっていない。明快と言えば明快。すっきりしてますね。

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