子会社の監査役【取締役会と株主総会】簡素化とガバナンス

監査・内部統制

経理部門で管理職をやっています。そうすると、ウチの会社では子会社の監査役になり、毎月の取締役会に監査役として出席することになります。

新型コロナウイルス感染症で1度目の緊急事態宣言(2020年4-5月)の最中でも、みな取締役会に集まって議事録は紙に押印していました。当社グループの子会社では、取締役会は毎月開催しており、コロナで省略してもよさそうなものの、親会社からのアドバイスもなく、省略の検討もなく、なんとなく開催されていました。

コロナで緊急事態宣言がでて、電車ガラガラの時にも取締役会で集まっていたのですか?

<span class="fz-20px">火焔土器</span>
火焔土器

そうなんです。月次業績をふんふんと聞いていました。

取締役会と株主総会はどこまで簡素化していいのか、したほうがいいのか、考えてみました。

2度目の緊急事態宣言(2021年1月~)では皆を説得して取締役会をリモート開催にしました!
四半期決算の報告があるのでちゃんと開催します!

取締役会は年4回開催すればOK

会社法では、代表取締役と業務を執行する取締役は、3か月に1回以上、職務執行の状況を取締役会に報告する義務があり(会社法第363条2項)、少なくとも3か月に1回は取締役会を開催する必要があります。

通期・四半期決算の報告で、年4回の開催が最低限度必要となります。
つまり、毎月、取締役会を開催する必要はありません。

次回の取締役会までの期間で、決議、報告すべき事項があった場合には、

・決議事項 ⇒ みなし決議(書面決議。会社法第370条 定款に記載が必要
・報告事項 ⇒ 通知(会社法第372条。業務執行状況の報告は省略不可(2項))

により取締役会を開催せずに対応できます。

取締役会はリモートでもOK

取締役会は、

・即時性 ⇒ 各取締役の発言内容等が、即時に他の取締役に伝わること
・双方向性⇒ 取締役間で、協議と意見の交換が自由にできること
       適時的確な意見表明が互いにできること

が満たされていればリモートでもOKなので、Zoom、Teamsなどで開催できます。

監査役として取締役会を活用するには年4回で十分

ウチの会社(グループの親会社)では取締役会を毎月開催していて、それに倣って子会社も毎月開催しているので、子会社の取締役会には監査役の私も毎月出席しています。毎月出席していると、時間は取られますが、取締役会の決議事項や報告事項について一通り説明されるので情報は集まります。とはいえ、議長から一方的に話をされて終わることも多く、集まる時間が無駄だったと感じることも多くあります。

取締役会について、簡素化・効率化の観点から年12回は多すぎないか、若しくは、ガバナンスを利かせるためにはやはり年12回は必要なのか、考えてみたいと思います。

監査役の観点からすると、各取締役に直接コミュニケーションを取れる機会は貴重です。そう思って、私が子会社の監査役になった時、今までの取締役会議事録を読んでみたところ、監査役の発言はなんと皆無でした。ただ座っていただけ?

<span class="fz-20px">火焔土器</span>
火焔土器

このまま無風で過ごしてもいいんだよなあ・・・

<span class="fz-20px">火焔土器</span>
火焔土器

でも、監査役として仕事した方がいいよなあ・・・

せっかく取締役に出席しているわけだし、無言で過ごすのではなく、ちゃんと仕事することにしよう、ということで、

・自分の監査結果を説明し、
 「こういったことはやらないように」「こういったことには注意するように」
 と取締役に直接物申す(年1回)
・連結グループの会計方針変更・税制改正について影響がある場合は説明する(あれば)
・税務調査、会計監査について会社側から報告、指摘事項を周知させる(あれば)

ということで、最低限年1回+αは監査役として発言することにしています。
(議事録に残す”発言”という意味で、会議中、普通にしゃべってはいます)
それでも監査役としては年4回も取締役会があれば十分です。

ガバナンスを利かせるためには取締役会は年何回がいいのか?

取締役会の開催が年4回ではガバナンスとして十分でしょうか?

ウチのグループでは、規模が大きくない子会社では、取締役は、社長、子会社に常勤の取締役、親会社に常勤の取締役(子会社に非常勤)で構成されています。

社長と子会社に常勤の取締役は普段からコミュニケーションしていますので、子会社の取締役会の意味は、子会社経営陣と、親会社担当者(非常勤取締役)、親会社管理部門(監査役)のコミュニケーションになります。(ウチの会社では実態としてこうなっています)

これが年12回で多いのか、少ないのか、一概にはいえません。ただ、親会社担当者がずっとだまっている状況なら、何か課題を持ち込むようにするか、回数を減らすか、見直した方がよいと思います。

オブザーバーの参加

私が参加している取締役会では、議題に応じてオブザーバーが出席することはありません。もっと柔軟に、たとえばグループのルールや法規制などが変わった場合は親会社や子会社の担当者を出席させて直接説明してもらうなど工夫したいと考えています。

株主総会は実際に開催しなくてもOK

株主総会は実際に開催しなくても、株主の全員が同意していれば開催しなくてもよいとされています。(会社法第319条1項(書面決議・みなし決議)・会社法第320条(報告の省略))

他に株主がいる場合は意味があるかもしれませんが、100%子会社の株主総会はシナリオに沿って進行するだけで形骸化そのものです。

100%子会社の場合は省略でいいと思います。
とはいえ、ウチの会社で提案してもなかなか通らないでしょうけど😔

議事録の電子化

最近、ワークフローシステムが導入され、回覧・申立・報告の類はすべて電子化されました。その中にあって、取締役会の議事録は紙に押印です。

2020年5月29日付法務省新解釈でクラウド型電子署名でもOKとなったようです。

会社では、まだ、クラウドサインもドキュサインも導入していませんが、導入されたら真っ先にペーパレスを進めたいです。議事録の電子化はメリットしかありません。どんどん進めたいです。

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