経理キャリアのスキルアップ ②デジタル時代の経理スキル

経理コラム

長く経理をやってきた経験から、デジタル化・AI化の時代、経理キャリアにプラスとなるスキルについて考えてみました。

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デジタル化・AI化が進むと経理に人はいらない?

「デジタル化・AI化が進むと経理に人はいらない」などといわれています。そこまで極端な変化はないとは思いますが、今までも経理を含む管理業務全般でそうだったように、人がやらなくなる業務と、みんながやるようになる業務(今のエクセルのように)にわかれていきます。それに対応して、「今後需要がなくなるスキル」と「今後重宝されるスキル」にわかれます。

本社の引っ越しをしたとき、昔の書類を整理しました。その際、手書きの会計帳簿が大量にでてきて、当時の大先輩たちが「手書き帳簿時代」について盛り上がっていました。手書き時代は、科目ごとに担当をわけて帳簿を書いていたそうです。1日の業務の大半が「手書き」と、数字が合わない時の「転記ミス探し」です。また、「早く、読みやすく書ける」ことが経理キャリアで重要視され、会計・税務の知識・理解が深い経理部長も、字が下手だと部下の経理職員からは軽視される風潮だったようです。(江戸時代のようですね🙄)

確かに、摘要をみても、ごちゃごちゃ書いていて読めない帳簿と、すっきりしていて読みやすい帳簿ではだいぶ違いがあります。特に、経理だけに、数字が「クセがすごいんじゃ!」となっていると会計帳簿としては致命的にアカンです。

若い人からすると、いつの時代?という話ですが、私からするとそんなに昔の話ではありません。当時、経理スキルを考えたときに、「今後需要がなくなるスキル」がペン習字、「今後重宝されるスキル」が、最初はみなスキルがゼロだったエクセルだったと思います。(いったんマルチプランを挟みますが昔話はこれくらいにします)

『支払処理・請求業務』は減り『電子データの設定業務』は増える

支払・請求についてウチの会社ではこんな感じです。(進んでいる会社の人はご笑覧ください😄)

(支払処理)
・営業担当者が紙で受け取った請求書をチェック(内容)して支払システムへ手入力
・営業課長がチェック(転記ミス・内容・科目・計上月等)して承認
・経理課がチェック(転記ミス・科目・計上月等)して承認

(請求業務)
・担当者が営業システム等の内容をチェックして請求書印刷・郵送

(これからの変化)
・請求書が電子データになる
 ⇒PDF等で受取るだけではペーパーレスの効果しかありませんが、項目ごとにデータ連携できるようになるでしょう(手入力なし) ⇒黄色の下線部のところがなくなります

これからはこうなるでしょう。

(支払処理)
・営業担当者が内容をチェックしてクリック(申請)
・営業課長がチェック(内容・科目・計上月等)してクリック(承認)
・経理課がチェック(科目・計上月等)してクリック(承認)

(請求業務)
・担当者が営業システム等の内容をチェックしてクリック(送信)

『支払処理・請求業務』は減る

支払処理では、請求書の開封・配布・データ入力作業・転記チェック、請求業務では、請求書の郵送作業はなくなります。営業は支払処理の入力作業、請求書の郵送作業がなくなり、経理課は転記チェックがなくなるほか、書類の管理(保存)がなくなります。

営業は、全体のうち、ごく一部の業務がなくなるだけなので、「楽になった!」という感じにはなりますが、規模にもよりますが、それほど人を減らせるインパクトはないでしょう。

経理課は、本社の決算・税務業務には影響ありませんが、経理部門全体では、1割くらい減ると思います。

今、経理課で、紙の請求書と入力された支払データの照合チェックにそれなりに業務時間を取られている人は、他の業務でスキルを高められるように意識しましょう。

『電子データの設定業務』は増える

これから経理部門で何か取り組みたい人は、支払請求業務の電子化がおすすめです。

導入後は、取引内容から科目・計上月・消費税の分類などを自動判定するため、設定に工夫を凝らすノウハウが重要になるでしょう。取引内容が変化すれば微調整し、新規の取引先であれば新規の設定となり、設定業務は日常の重要な業務となります。

支払請求業務の電子化を提案するか、導入する場合に積極的に参加していれば、仕組みの考え方や導入時の会社の方針についての議論を当事者として知ることができます。

『エクセルスキル』は活躍の場が減り、『オフィス365とPower Automate』スキルが活躍する

昔は、連結決算はエクセルでやっていました。その後、システムを入れましたが、CFはエクセルで作るなどしていました。今はシステムを入れ替え、DIVA(連結システム)ですべて処理しています。

昔は、業績分析はすべてエクセルでやっていました。今はBIツールを入れて数字の取り出しはBIツール、発表用の数字+コメント資料はエクセルです。

昔は、だいたいの業務をエクセルで処理していましたが、今は、専用のシステムを入れて代替していく流れです。システムもクラウドが主流となり、安く、メンテ不要となっています。

エクセルは、大活躍だった時代から、今後は小活躍くらいになります。とはいえ、エクセルは主要ツールとして今後もスキルを磨く必要があり、まず職場のエクセル使いランキングの上位を目指しましょう。

職場でエクセル使いとして上位に入ったら十分なので、これから重要度が増していくスキルを身につけましょう。オフィス365とPower Automateです。オフィス365のスキルが重要になっていくと思います。

安くメンテ不要のクラウド・SAASが普及し、難しい処理を担ってきたエクセルと交代していく、そして、コミュニケーションツール(オフィス365)の効率化スキルが重要視される時代になっていくと思います。

オフィス365以外のグループウェア

「グループウェア」で検索するといろいろでてきます。ただし、エクセルを中心としたマイクロソフトのオフィス製品を完全に排除した会社はそうはないのではないでしょうか?
(G Suiteで完全代替の会社は多いかも?)

オフィス365が主流となり続けると読んでいるので、オフィス365とPower Automateのスキル向上がおすすめです。

会社でオフィス365を導入していないなら、汎用性を考えると、オフィス365以外のツールのスキル磨きはほどほどにした方がいいかもしれません。

オフィス365とPower Automateのおすすめスキル

試行錯誤中ですが、
・SharePointによる経理部掲示板
・Power Automateによる【Excel ⇔ SharePoint ⇔ outlook ⇔ Forms】連携
がおすすめです。まずは掲示板から進めていきましょう。

ブログでも記事にしていきます。

これからはダッシュボードの時代

エクセルは発表用の体裁に加工するのに非常に優れています。

うちの会社でも業績説明などはようやくペーパーレスになってきましたが、基本、『ページ数の多い』PDFをPC・タブレットで見ながら担当者が説明していくスタイルです。元となる資料は、パワポ、エクセル、ワードです。このスタイルだとエクセルはまだまだ強いと思います。

しかし、今後は、タブレットの画面が複数に分割され(もしくはタブレット自体が複数)、1つは全員共通の、動的に動く『ページ数の少ない』資料で、担当者はその資料に沿って説明しますが(同期して資料が動いていく)、聞いている方は自由に、ダッシュボードの別の画面にある業績数値をドリルダウンしたり視点の違う資料を見ながら質問していく、そんなスタイルになると思います。(すでにそうなっている会社はすごいですね)

全員共通の資料は、従来は『ページ数の多い』ものでしたが(あくまでもウチの会社では)、今後はあまり見ない部分はダッシュボードのどこかに、「会議中いつでも見れますよ」状態で入れておき、動的に動く『ページ数の少ない』より絞られた資料になっていくと思います。

ダッシュボードを作り込むスキルは今後重要になると思いますが、現在、これだ!と思うツールはまだありません。

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