電帳法の電子帳簿【22.1大幅緩和で活用しましょう!】

経理コラム

2022.1電帳法の電子帳簿が実質「解禁」!

今まで無駄に厳しくしてきましたが、ついに!システム要件を実質なくします。

経理担当者
経理担当者

ついに解禁!

2021年7月に、2021年度税制改正を反映した、「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」が公表されています。

電帳法の3本柱

電帳法は、電子帳簿等保存制度、スキャナ保存制度、電子取引制度が3本柱です。

よく話題になるのがスキャナ保存制度ですが、今回は、電子帳簿等保存制度(=電子帳簿)の話です。

優良電子帳簿とそれ以外の電子帳簿

電子帳簿の要件は、従来、無駄に厳しかったため、活用が進みませんでした。
不必要な規制で電子化が進まなかった、という総括なのではないかと思いますが、ここで「今までの規制は全部やめ!」と単に緩和すると、今まで不必要な規制で企業のデジタル化・効率化を妨げていた、みたいに受け止められるので、従来のシステム要件を受け継いだ「優良電子帳簿」と「それ以外の電子帳簿」にわけ、「それ以外の電子帳簿」については、実質、システム要件をなくすことで世間の要請に応じつつ、「優良電子帳簿」では、過去の規制を引継ぎ存続させることで、

役人
役人

俺たちに間違いはなかった

風にしたかったのではないか、と邪推しています。

では、優良電子帳簿のメリットとは何でしょうか?

優良電子帳簿のメリット
・過少申告加算税の減免
・所得税の青色申告特別控除65万円

メリットってこれだけ?

ということは、経理書類の電子化を進めたい!という目的からすると、「優良電子帳簿」と「それ以外の電子帳簿」に違いはないので、「それ以外の電子帳簿」で十分です!

2022.1からの電帳法を確認

電帳法
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
第四条 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等

電帳法規則
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
第二条 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等
第三条 国税関係帳簿書類の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等
第五条 他の国税に関する法律の規定の適用

規則第2条優良、優良以外
規則第3条優良(COM)、優良以外(COM)
規則第5条優良

優良電子帳簿以外の電子帳簿の要件は、規則第2条にあります。

規則第2条~優良電子帳簿以外の電子帳簿

第二条 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等
法第四条第一項に規定する財務省令で定める国税関係帳簿は、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)又は法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の規定により備付け及び保存をしなければならないこととされている帳簿であって、資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引につき、正規の簿記の原則(同法の規定により備付け及び保存をしなければならないこととされている帳簿にあっては、複式簿記の原則)に従い、整然と、かつ、明瞭に記録されているもの以外のものとする。
*法4条において対象外となる「帳簿」の説明=財務省令で定めるものを除く

 法第四条第一項の規定により国税関係帳簿(同項に規定する国税関係帳簿をいう。第六項第四号を除き、以下同じ。)に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該国税関係帳簿の備付け及び保存に代えようとする保存義務者は、次に掲げる要件(当該保存義務者が第五条第五項第一号に定める要件に従って当該電磁的記録の備付け及び保存を行っている場合には、第三号に掲げる要件を除く。)に従って当該電磁的記録の備付け及び保存をしなければならない。

 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に併せて、次に掲げる書類(当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項及び第六項第五号において同じ。)以外のプログラムを使用する場合にはイ及びロに掲げる書類を除くものとし、当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理を他の者(当該電子計算機処理に当該保存義務者が開発したプログラムを使用する者を除く。)に委託している場合にはハに掲げる書類を除くものとする。)の備付けを行うこと。
*自分で開発していない場合で考えます=イ.ロ.を除く)

 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システム(電子計算機処理に関するシステムをいう。以下同じ。)の概要を記載した書類
 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの開発に際して作成した書類
*自分で開発していないのでイ.ロ.はスルー

 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの操作説明書

 当該国税関係帳簿に係る電子計算機処理並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書並びに当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存に関する事務手続を明らかにした書類)

 当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をする場所に当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、当該電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておくこと。
*見読可能装置の備付け・出力

 国税に関する法律の規定による当該国税関係帳簿に係る電磁的記録の提示又は提出の要求に応じることができるようにしておくこと。
*ダウンロード・データ提出

以上からまとめると要件は4つです。

規則2条2項一ハ操作説明書当然あると思います
規則2条2項一ニ事務手続を明らかにした書類要準備
規則2条2項ニ見読装置の備付け・出力当然あると思います
規則2条2項三ダウンロード・データ提出当然できると思います

「事務手続を明らかにした書類」は準備しましょう。
他は、当然、ある/できるレベルのことだと思いますが、確認しましょう。

「見読装置の備付け・出力」について、将来、システムを入れ替えた場合には、旧データの閲覧のために旧システムを維持するのは非効率なので、データを移行して新システムで閲覧できるようにした方が良いと思います。

事務手続を明らかにした書類

電子帳簿保存法取扱通達4-6

⑶ 同号ハに掲げる書類 入出力要領などの具体的な操作方法を記載した、例えば、
操作マニュアル、運用マニュアルなどの書類
⑷ 同号ニに掲げる書類 入出力処理
(記録事項の訂正又は削除及び追加をするための入出力処理を含む。)の手順、
日程及び担当部署並びに電磁的記録の保存等の手順及び担当部署などを明らかにした書類

電子帳簿保存法取扱通達4-6趣旨説明

各書類について、それぞれの内容と、該当する書類の一般的な名称を例示したものである。
*特に参考になる情報はないです

電子帳簿保存法Q&A(一問一答)電子帳簿(2021.7)

「電子帳簿保存法Q&A(一問一答) ~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~」
をクリックし、
電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】
を選んでください。

「事務手続を明らかにした書類」の概要

電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】
問9 規則第2条第2項第1号ニに規定する備え付けておくべき「国税関係帳簿に係る電子計算機処理に関する事務手続を明らかにした書類」とは、具体的にどのような内容を記載したものが必要となりますか。
⇒・・・概要を示すと、例えば、次のような内容を記載したものが必要となります。

とあり、概要が示されていて参考になります!

電子帳簿保存法Q&A(一問一答)電子帳簿(2021.7)の概要

どうでもいいですが、2020.6と比べると、「仕訳データの入出力の手順」の各行から がとれています。句読点チェックが上司から入ったのでしょうか。さすが官僚ですね。なんとなく雰囲気がわかるような気がします。

概要のポイント(個人の感想です。実務では税理士等よく相談してください😅)

入力担当者と管理責任者を明らかにする
入力担当者と管理責任者の役割を記載していますので、別途、職務分掌表等で入力担当者と管理責任者は誰なのか、明らかにしておく必要があると思います。
電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】の「電子取引データの訂正及び削除に関する事務処理規程」サンプルでは、(運用体制)として管理責任者と処理責任者の役職氏名を記載しています。
同様に、「事務手続」に役職氏名を記載した方が確かですが、異動のたびに改正するのはちょっと手間なので、別途定めた方が柔軟です。

「仕訳データの入出力の手順」の期日
概要には、

2.入力担当者は、次の期日までに仕訳データの入力を行う。 
(1) 現金、預金、手形に関するもの 取引日の翌日(営業日) 
(2) 売掛金に関するもの 請求書の発行日の翌日(営業日) 
(3) 仕入、外注費に関するもの 検収日の翌日(営業日) 
(4) その他の勘定科目に関するもの 取引に関する書類を確認してから1週間以内
*理由はわかりませんが、(4)だけ営業日ベースではないようです。

と手順に期日が記載されています。
この期日は例なので、これより遅くなってはいけない、ということではないと思います。
問27では、規則第5条第5項(優良電子帳簿)や規則第2条第6項(スキャナ保存)のいう「その業務の処理に係る通常の期間」を「最長2カ月の業務サイクルであれば、通常の期間として取り扱われます」としています。
優良電子帳簿以外の電子帳簿を考えているので、直接、該当するわけではありませんが、問27に準じて2カ月以内であればいいのではないかと思います(個人の解釈です)。
月次決算をしていれば、「1カ月+翌月の月次締日」が発生から入力までの最長期間になるので2カ月以内になります。「最長2カ月」は、少なくとも月次決算はやってください、という趣旨だととらえています。

管理責任者の確認後の訂正又は削除
概要には、管理責任者の確認後の訂正又は削除の処理(5)と保存(6)について記載があります。
これは、優良電子帳簿と関係のある記載なので、優良電子帳簿以外の電子帳簿ではもっと緩い内容でもOKとなる可能性もありますが、記載例の内容はごく普通のものです。もし、現状、クリアできていないのならば、統制上の観点から、運用を見直してクリアできるようにした方がよいと思います。

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