三様監査を支えるのは経理!

監査・内部統制
Audit concept

*当記事では「会社法監査における会計監査人」と「金融商品取引法監査における監査人」を厳密には使い分けしていません。

監査役

監査役は、一般的には、会計監査人より専門性は低く、監査人や内部統制部門のような実務の細かい監査はしないものの、会計監査人より内部情報に通じており、内部監査部門よりモノ申せる立場にいます。

内部監査部門

社内での位置付けは、
・社長ー監査担当役員ー監査部門
・社長ー監査部門
社長直轄にするかどうか、で違いがあります。
監査担当の役員がいる場合は、その役員の担当の範囲にはあまりものを言えなくなります。
社長直轄にした方が監査部門の権威は高まりますが、社長は時間がとられます。

会計監査人

監査法人もチェックを受けます。

日本公認会計士協会による自主規制「品質管理レビュー」

公認会計士・監査審査会による「品質管理レビュー」のモニタリング制度

監査役と会計監査人

監査役は、会計監査人が取締役の不正行為や法令・定款違反の重大な事実を発見したときには、報告を受けたり、報告を請求したりする権限があり(会社法397条1項・2項)、会計監査人の会計監査報告の内容の通知を受ける権限もあります(会社計算規則130条)。
会計監査人の報酬等の決定には監査役の同意が必要です(会社法399条)。

日本監査役協会の監査役監査基準等でも会計監査人との適切な連携を図るべきことが明確にされています。

監査人の監査基準においても「監査人は、監査の各段階において、監査役等と協議する等適切な連携を図らなければならない(監査基準第三実施基準一基本原則7)」とされています。

有価証券報告書「コーポレート・ガバナンスの状況」では、監査役と監査人との相互連携を記載することになっています。

監査役は会計監査人と内部監査部門をつなぐ

内部監査は法定監査でないことから、会計監査人は、監査役に対する場合と異なり、内部監査部門に対する報告義務は存在しません。従って、監査役は、意識的に両者の接点を持たせる役割があります。

経理部門の役割

内部統制部門⇒内部監査部門

内部監査部門が経理部門と別の場合、三様監査に経理部門の出番はありません
でもおかしくないですか?
お金の管理の弱点や利益操作っぽい雰囲気をつかむのに、実質的には経理部門が適任です。
もちろん、経理部門は当事者でもあり、経営者の支配下にあるので、補助的ではあるものの、それでも、三様監査、いや、三様+α監査で中央に立つのは経理部門ではないかと思います。

ちなみに私は三様に入っていない経理ですが、勝手にすべてを統括する意識で不正等のチェックをしています(笑)

会計不正防止における監査役等監査の提言

会計不正防止における監査役等監査の提言-三様監査における連携の在り方を中心に-
日本監査役協会

気になった点をメモ

P.9 常勤者の設置が義務付けられていない指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社においても、常勤の監査委員又は監査等委員を設置すべき

P.13 内部監査部門は各社により監査内容、監査範囲、陣容等が異なり、また監査役等との合同監査の実施や、内部監査部門長の人事に監査役等が一定の関与をしている会社もある

P.13 内部監査部門の組織上の位置づけは社長直属の会社が多い

P.20 主要子会社や、本業とは違う事業を行う子会社M&Aで取得した子会社などリスクが高い

P.21 定期的な子会社監査役等との面談や報告受領

P.21 子会社の会計監査人のマネジメント・レターを積極的に活用する

参考

監査役等の皆様へ 日本公認会計士協会
監査役等と会計監査人との連携に関する共同研究報告
*別紙として「日本監査役協会・日本公認会計士協会から公表されている相互のコミュニケーションに関連する指針等の一覧」が添付

三様監査における監査役の役割 by EY 獨協大学 法学部教授 高橋 均

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