不正会計:オリンパス・東芝

経理コラム

オリンパス

2011年
7月 雑誌FACTAによるスクープ
10月 マイケル・ウッドフォード(イギリス人)社長解任。後任は菊川会長
   マイケル・ウッドフォード経緯公表。菊川会長兼社長辞任
11月 第三者委員会の設置

監査法人

2012年
7月 金融庁から業務改善命令⇒「有限責任あずさ監査法人」と「新日本有限責任監査法人」
・2009年3月期までがあずさ、その後は新日本が担当
・両法人間の引き継ぎについて、「監査で把握された問題点が的確に引き継がれていなかった」と指摘
・あずさに対しては、オリンパスが損失隠しに利用した巨額の買収案件について、 監査チームとは別のメンバーがチェックする「上級審査」の対象にしなかった点も問題視
⇒ 法人及び担当会計士は懲戒処分とならなかった

刑事裁判

2013年
7月 東京地方裁判所
前社長菊川剛:懲役3年執行猶予5年(求刑:懲役5年)
副社長森久志:懲役3年執行猶予5年(求刑:懲役4年6か月)
山田秀雄前常勤監査役:懲役2年6か月執行猶予4年(求刑:懲役4年)
オリンパス:罰金7億円(求刑:罰金10億円)

2014年
12月 東京地方裁判所
指南役の元証券会社社員:検察官が主張して居た金融商品取引法違反の共同共謀正犯の罪ではなく、幇助の罪にとどまることを認定
懲役1年6か月、執行猶予3年、罰金700万円(求刑::懲役3年、罰金1,000万円)

2015年
2月 アメリカ証券取引委員会(SEC)
損失隠しに関わった米国在住の指南役は司法取引に応じて刑罰が科されなかった
(証券業界で働くことは禁止)
7月 東京地方裁判所
指南役の元証券会社社員ら3人:検察官が主張していた金融商品取引法違反の共同共謀正犯の罪ではなく、幇助の罪にとどまることを認定
2人については詐欺罪、また3人については組織犯罪処罰法違反を認定
懲役4年、罰金1000万円(求刑:懲役6年、罰金1,200万円)
懲役3年、罰金600万円(求刑:懲役5年、罰金800万円)
懲役2年、執行猶予4年、罰金400万円(求刑:懲役3年、罰金600万円)

民事訴訟

一連の問題で損失を被ったとして、オリンパスの株主(個人9人、法人2社)が、損害賠償を求め大阪地方裁判所に民事訴訟を提起。2015年(平成27年)7月21日に同地裁は株主らの訴えを認め(一部認容)、オリンパスに対し計約2,100万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

株主代表訴訟;オリンパスと株主が損失隠しをした旧経営陣に損害賠償を求めた
東京裁判 ⇒ 旧経営陣16人に対して総額約590億円をオリンパスに支払うよう命じる判決
2019年5月16日東京高裁 ⇒ 控訴審では一審判決の一部を取り消し、菊川元社長と森元副社長、山田元監査役の3人の賠償責任を認め、賠償金約594億円の支払いを命じた。
2020年10月22日最高裁判所 ⇒ オリンパスと株主側、旧経営陣側の双方の上告を退ける決定をし、二審判決が確定した。

オリンパスが元証券会社役員2人に損害賠償
2019年8月22日東京地裁 ⇒ 請求通り5億円の支払いを命じた。

東芝

2015年
2月 内部通報を受けて証券取引等監視委員会が実施した検査の結果、不正会計が発覚
5月 第三者委員会の設置
7月 調査報告書の公開
9月 有価証券報告書の提出
   当初1200億円と見込まれていた2015年3月期の当期純利益が、378億円の当期純損失となる
12月 新日本監査法人等への懲戒処分

2016年
1月 監査法人の交代(PwCあらた監査法人)

2018年
7月 米国で集団訴訟

監査法人

2015年12月
新日本監査法人への懲戒処分
・新規業務停止3か月
・業務改善命令
約21億円の課徴金納付命令
公認会計士への懲戒処分
・業務停止1-6か月

21億円払え!
これぐらいないと抑止にならんよね

インフラ事業における工事進行基準

477億円

買収した米ウエスチングハウス (WH)の案件では、2013年度2Q、発電所の追加工事について、WHの見積もった3億8500万ドルを6900万ドルで処理しました。

映像事業の経費計上

88億円

取引先に請求書の発行などを遅らせました。

半導体事業の在庫評価

360億円

在庫の廃棄まで評価損を計上しませんでした。

パソコン事業の部品取引

592億円

パソコン部品について、台湾のODM(組立会社)に有償支給をしています。「マスキング価格」と称し、調達価格の4~8倍で売ることもあったそうです。その“差額”を、製造原価のマイナスという形で、利益計上していました。
ただし、完成品を買い戻すため、一時的な増益で、パソコン事業は四半期末の3・6・9・12月のみ、営業利益が売上高を上回る異常値を示していました。

経営者

西室泰三
1996年 東芝社長
2000年 東芝会長
2005年 東芝相談役。東京証券取引所会長(~2010年)
2013年 日本郵政社長(~2016年)

東芝でウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーの買収により巨額損失を出し、その後に社長となった日本郵政の海外事業買収でも同様の巨額損失を出しています。また2013年から2016年まで在任期間にかんぽ生命保険のさまざまな不正が発生しました。

西田厚聰(にしだ あつとし)
東芝のイラン現地法人にて採用され、31歳の時に東芝本社に入社
日・米・欧にまたがる東芝の海外PC事業を長く担当
2005年 東芝社長
2009年 東芝会長(~2014年)

佐々木則夫
2009年 東芝社長(~2013年)

チャレンジ

収益改善目標を表す「チャレンジ」は西田氏の社長時代の言葉。

リーマンショック直後の2008年度第3四半期、西田氏の意を酌んだPC社は前述した部品の押し込み販売で、184億円の営業赤字に陥りそう だったパソコン事業を、5億円の黒字にまで劇的に“改善”させた。

タイトルとURLをコピーしました