カネボウ
2004年
3月 産業再生機構が支援決定を発表
4月 経営浄化調査委員会設置
10月 調査結果発表(粉飾事件の発覚)
2005年
6月 上場廃止
9月 会計士逮捕
経営再建のため産業再生機構が関与して初めて発覚しました。
内容:実態の伴わない売上の過大計上、費用の繰延、連結外し、評価減すべき在庫、関係会社の投融資への引当金不足、取崩すべき繰延税金資産
経営者判決
会長兼社長は懲役2年、執行猶予3年、副社長は懲役1年6月、執行猶予3年です。
監査法人
中央青山監査法人及び関与社員(3名は登録抹消、1名は業務停止1年)は懲戒処分となり、関与社員会計士3名は有罪となりました。
懲役1年6月、執行猶予3年 1名
懲役1年、執行猶予3年 2名
参考
ライブドア
2006年
1月 東京地検による家宅捜査。堀江貴文、宮内亮治、岡本文人、中村長也逮捕
2月 熊谷史人逮捕
4月 上場廃止
偽計及び風説の流布
ライブドアの上場子会社バリュークリック(後のライブドアマーケティング)が、マネーライフを株式交換で完全子会社化します。
ところが、この取引相手はライブドアの完全子会社ライブドアファイナンスの支配下にあるファンドでした。ファンドは、すでにマネーライフを買収していて、株式交換で入手したバリュークリックを売却し、その売却益をライブドアの連結売却益に計上しました。
ファンドが、マネーライフ株式との株式交換で入手したバリュークリック株式高値売却のため、
・株式交換比率を不正に操作*してバリュークリック株式を過大に割り当てる
*株価交換比率を算出したのはライブドアファイナンス
・架空売上の計上でバリュークリックの株価維持
などしていたのが「偽計及び風説の流布」とされました。
子会社株式の一部売却
①【ライブドア=ライブドアファイナンス=ファンド】
②【ライブドア=バリュークリック】
①②がライブドア子会社とすると、①ファンドの②バリュークリック株式の売却は子会社株式の一部売却となります。
子会社株式の一部売却 | 2013年改正前 | 2013年改正後 |
売却持分と売却価額の間に生じた差額 | 売却損益の修正 | 資本剰余金 |
のれん未償却分 | 売却した株式に対応する部分を 「売却損益の修正」として処理 | 減額しない |
当時は子会社株式の一部売却を連結売却益として問題はありません。
有価証券報告書の虚偽記載
2004年9月期
子会社が投資事業組合(ファンド)を通して保有していたライブドア株を売却し、売却益約37億円をPL計上しました。
ポイント
子会社の親会社株式の売却は資本取引で利益にはならない
子会社の定義
・当時の証券取引法(現在の金商法)では実質的支配基準
・当時の商法では形式的基準(2006年5月から施行された会社法から実質的支配基準)
・子会社によるファンド経由の取引は、形式基準(商法)では子会社の取引にならないが、
実質的支配基準(証券取引法)ではどうか?
⇒当時の証券取引法で子会社(≒ファンド)による親会社株式の売却とされた
子会社の親会社株式の保有
・当時の商法でも子会社の親会社株式の保有は禁止されている
ただし、事件当時の商法では、子会社かどうかは形式的基準で判断
(現行の会社法では実質的支配基準)
⇒問題になっていません。気になっただけです。
当時の商法では子会社の定義は形式的基準でしたが、計算書類は問題なし、ということになっていたのでしょうか?
そのほか、2004年10月に完全子会社となるロイヤル信販及びキューズネットに対する架空売上15億8,000万円の売上を計上し、実際には約3億円の経常損失が発生していたのに経常利益約50億円として有価証券報告書に虚偽の記載をしました。
経営者判決
堀江貴文は懲役2年6カ月の実刑 YouTube ツイッター
宮内亮治は懲役1年2カ月の実刑
岡本文人、中村長也は懲役1年6月、執行猶予3年
熊谷史人は懲役1年、執行猶予3年