電子帳簿保存法と消費税インボイス制度関連の記事
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電帳法改正でインボイスの電子保存要件が緩和①
税務通信3654【2021.5.17】の記事をメモしておきます。
①とあるので連載ですね。今回はシリーズ第1回。
今回の税務通信記事の要旨
インボイスを交付した売手のインボイス保存方法について、インボイス制度では電帳法を引用しているので、電帳法の保存義務を満たせば自動的にインボイス制度の保存義務も満たす。2021年度電帳法改正による要件緩和はインボイス制度でもそのままあてはまる。
ただし、電子インボイスを交付した場合、売手は、電帳法では電子データの保存が必要だが、インボイス制度では電帳法に定める電子データ保存でもいいし、電帳法では認められていない書面保存でもよい、と違いがある点については留意すること。
インボイス制度でも電子取引は認められる【電子インボイス】
2023年10月からインボイス制度開始。
インボイス制度でも電子取引は認められます。
法令検索では、2023年10月施行なので「施行日:令和五年十月一日」とするのを忘れずに!
買手から求めれられたとき、売手には適格請求書の交付義務があります
(適格請求書発行事業者の義務)
消費税法 第五十七条の四 適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行つた場合(第四条第五項の規定により資産の譲渡とみなされる場合、第十七条第一項又は第二項本文の規定により資産の譲渡等を行つたものとされる場合その他政令で定める場合を除く。)において、当該課税資産の譲渡等を受ける他の事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。以下この条において同じ。)から次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(以下この条から第五十七条の六までにおいて「適格請求書」という。)の交付を求められたときは、当該課税資産の譲渡等に係る適格請求書を当該他の事業者に交付しなければならない。ただし、当該適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難な課税資産の譲渡等として政令で定めるものを行う場合は、この限りでない。
適格請求書は電子インボイスで提供することも可能です
5 適格請求書発行事業者は、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項に係る電磁的記録(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第二条第三号(定義)に規定する電磁的記録をいう。以下この条から第五十七条の六までにおいて同じ。)を提供することができる。この場合において、当該電磁的記録として提供した事項に誤りがあつた場合には、前項の規定を準用する。
発行したら保存義務があります
6 適格請求書、適格簡易請求書若しくは適格返還請求書を交付し、又はこれらの書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を提供した適格請求書発行事業者は、政令で定めるところにより、これらの書類の写し又は当該電磁的記録を保存しなければならない。この場合において、当該電磁的記録の保存については、財務省令で定める方法によるものとする。
売手の保存義務【交付2x保存2⇒4パターン】
電子インボイスを交付した場合
保存方法 | 要件 | 電帳法の取扱い |
①電子インボイス | 電帳法の電子取引制度の要件 | 電子取引制度に該当し電子インボイスで保存の必要 |
②書面 | 整然とした形式及び 明瞭な状態で出力 | 電子取引制度に該当し電子インボイスで保存の必要 書面保存は認められない |
書面インボイスを交付した場合
保存方法 | 要件 | 電帳法の取扱い |
③書面 | なし | 対象外 |
④電子データ | 電帳法の電子帳簿等保存制度の要件 | 電子帳簿等保存制度の対象にできる |
電帳法改正でインボイスの電子保存要件が緩和⇒①④
電帳法を引用している①④については、電帳法が改正されたので、当然、保存要件はその改正内容となります。
電帳法の保存要件を満たしている場合、消費税の保存要件は自動的に満たします。
消費税について特に気にする必要はありません。
ややこしいポイント1 電帳法の3本柱
電帳法は、電子帳簿等保存制度、スキャナ保存制度、電子取引制度が3本柱です。
①は、電子取引なので、電帳法の電子取引制度が適用されます。
④は、電子取引ではなく、書面なので電帳法の電子取引制度は適用されません。
帳簿保存の電子化という意味で、電帳法の電子帳簿等保存制度を適用できます。
ややこしいポイント2 電帳法では認められていない消費税の取扱い
②は、電子取引なので電帳法の電子取引制度が適用され、電子インボイスで保存しなければなりません。
しかし、消費税では書面保存でもOKです。
電帳法と消費税で取扱いが異なる点については、ブログで解説しています。